残業

あれは確か、22時半が過ぎて…23時になろうとしていたと思う

私はもうお腹が空いてたまらなくなって

豚キムチに湯を入れた

あの、スーパーカップの。

歳が少し離れた先輩ふたりが

パチパチといい音を立てながら

伝票を打ち続けている

その横で、いい匂いをさせながら麺をすすると

ふたりは、「まじか。」と言いながら笑っていた

そんな奴いる?そんなことも言っていた気がする

さすがにこの時間はお腹すくでしょう!と言い訳するように反論する私。

一応、食べますか?とは誘った。断られたけど。

先輩ふたりは、仲がいいと思う

でもお互い敬語で話す

男性がふたり、仲がいいのに敬語で話す

すごく不思議で一度聞いたことがあるけれど、理由は本人達もよくわかっていないようだった

年下のほうが敬語で、年上の方がため口ならなんとも思わない

けれど、ふたりは敬語で話す

ふたりが敬語でたわいもない話をするのを聞きながら

なんかいいな、と思った。

青春とも、また違うんだけど、なんか。

さっさと食べ終えて

横並びになったデスクの3番目の席に座って

私もパチパチといい音を立てて伝票を打ちはじめた

少ししてから、出張から帰ってきた営業がまたひとり

やってる?みたいな感じで帰ってきた。と同時に

「なんかいい匂いする。」

みんなで笑った。

結婚して東京から地方にお引越し 夜勤の主人とふたり暮らし専業主婦 時間と経験が私をどんどん変化させていきます